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秋も食中毒に注意を

食中毒とは?

食品、添加物、器具または容器包装に含まれた(付着した)細菌、ウイルス、寄生虫、化学物質、自然毒を摂取することによって起きる衛生上の危害です。カンピロバクターもその一つで、鶏肉からの感染しやすい細菌です。

どの時期に多くなりますか?

食中毒と言うと夏場を思い浮かべると思いますが,近年は1年間を通して発生し、9月は1年でも多い時期です。原因としては、カンピロバクター、アニサキス(寄生虫のひとつ)、ノロウイルスが、毎年上位を占めています。一般に、夏場は細菌性が多く、冬場はウイルスによるものが多くなる傾向があります。自然毒によるものでは、春には山菜と間違えやすい有毒植物、秋には有毒キノコ、冬にはフグ中毒が多くなります。

潜伏期や症状は?

潜伏期は、病因物質によりさまざまです。化学物質、自然毒、食品内毒素型の菌(黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など)の場合は数時間以内と短く、寄生虫についてもおおむね短い傾向があります。ノロウイルスや赤痢菌は1~2日、カンピロバクターは2~5日です。一方、肝炎ウイルス(A型やE型)のように著しく長いものもあります。
症状については下痢、嘔吐、血便などの消化器系の症状を示すものが主です。カンピロバクターが原因の場合には、ギラン・バレー症候群といわれ、全身の神経に炎症が起きて手足の麻痺,呼吸困難などの症状を示す場合もあります。

秋に注意すべき食中毒は?

秋のアウトドアのレジャーとしてキノコ狩りは人気ですが、キノコ中毒の約9割は9月、10月におきています。「色が地味なキノコは食べられる」「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」などの迷信から誤食してしまう例が後を絶たちません。キノコ中毒は、ツキヨタケ、カキシメジによるものが多いですが、従来は無毒と考えられていたスギヒラタケによる中毒も発生しています。また、マツタケも古くなったものは中毒を起こすことが知られており、新鮮なうちにいただきましょう。

その他、ギンナン中毒にも注意してください。昔から、「年齢の数以上に食べたらいけない」との言い伝えもありますが、小児であれば7個も食べれば危険です。神経伝達や中枢神経に異常を起こし、痙攣や呼吸困難を起こします。

11月頃からは、生ガキによるノロウイルス食中毒が多くなる時期です。以下のことを守って調理をし、安全にいただきましょう。
1.生ガキを食べる場合は、生食用を消費期限以内に食べる。
2.調理する場合は、カキの中心部の温度が85°以上で1分以上加熱する。
3.カキを入れたボール・ザルなどは、熱湯や塩素系漂白剤で殺菌・消毒する。
4.取扱前後に、しっかり手を洗う。

食事や調理の際の注意点は?

食中毒の発生場所は、統計的には飲食店が最も多いですが、保健所に届けられていない家庭での食中毒は少なくないといわれています。自宅での調理でも、以下の「食中毒予防の3原則」をしっかりと守りましょう。
1.菌をつけない(手や調理器具をきちんと洗う。オニギリはラップで包んで握る。)
2.菌を増やさない(魚介類や前日に作ったカレーは室温に放置しない。)
3.菌をやっつける(加熱料理をするときは中心部まで確実に熱を通す。)

この時期、屋外でのバーベキューなどでお肉を食べることも多くなると思いますが、以下の点に注意してください。
1.食肉の生食は避ける(ユッケ、レバ刺し、鶏わさ、鶏刺し、ジビエ(イノシシ・シカ・クマ))
2.生食専用のトングや箸を使う
3.肉は中心部まで加熱する(中心部まで75℃で1分以上)

中毒110番というのは?

公益財団法人「中毒情報センター」は、化学物質や自然毒による急性中毒の情報を365日24時間、「中毒110番」にて電話受付しています(大阪:24時間対応(072-727-2499)、つくば:9-21時の対応(029-852-9999))。まだ中毒症状が発現していない例、「食べたかもしれない」といった場合でも対応してくれます。応急手当と医療機関を受診すべきかどうかのアドバイスをしてくれて、いざという時に助かります。

夏バテで減退していた食欲も少しずつ戻る時期です。食中毒への注意を払いながら、秋の味覚を堪能して、健康で元気な日々を送ってまいりましょう。

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