『気をつけよう! ダニ、カビの繁殖』
昔から、季節や気象に関連して病気が悪化したりすることが知られています。とくに梅雨の季節はじめじめした日も多く、体調を崩しやすくなります。さらに、高温多湿のこの時期の健康を損なうものに、ダニやカビの繁殖があります。
ダニ
6月~10月はダニの繁殖のピ-ク
ダニには、人間を刺すツメダニ、疥癬(かいせん)の原因となるヒゼンダニ、畳、家具類、食品類に付着するコナダニ、そして喘息やアトピ-性皮膚炎、アレルギ-性鼻炎の原因抗原(アレルゲン)として最も重要なチリダニ(ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ)があります。生きているチリダニだけでなく、その死骸や糞もアレルゲンとなります。 チリダニは高温多湿になる6月から10月に繁殖します。温度25℃前後、相対湿度75%前後というヒトにとっても快適な環境条件が、ダニにとっても絶好の繁殖条件になります。卵からかえったダニの幼虫は約30日で成虫になり、ヒトのフケやアカ、カビ、ペットの毛などを食べて2-3ケ月生きます。
寝具以外も生息場所に
住居でのチリダニは寝室、寝具類に最も大量に分布しており、寝室床面より寝具類に、敷布団より掛け布団に多く認められます。床が畳やカ-ペットの場合、板床(フロ-リング)に比べてチリダニの検出率が高くなります。また、ソファ-やクッション、カ-テン、ぬいぐるみ、家具などのほこりの中にも多く生息しています。
カビ
肺炎の原因にもなるカビ
一般的なカビの発育条件は、温度20~25℃、相対湿度80%以上で、浴室の壁、天井、家具の裏やベッドの下に繁殖します。カビの胞子は、特に5月から7月と10月に多くなります。快適な生活に欠かせないク-ラ-も手入れを怠ると、カビの温床になりカビをまき散らしかねません。
直径が1ミクロン(1ミリの千分の1)以下のカビは簡単に肺の中まで入り込み、肺炎を起こすことがあります。その他、気管支喘息やアレルギ-性鼻炎の原因にもなります。
身近なカビ「水虫」
じめじめした季節になると、水虫のかゆみに悩まされる人が多くなります。水虫は「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれるカビが、足に寄生して生じる病気です。足は毎日コップ1杯の汗をかくといわれ、靴のなかは菌が繁殖しやすい環境になっています。
ダニ、カビの対策
出来ることから始めよう
1.こまめな掃除。
ダニの餌となるほこりをなくすことが繁殖防止のコツ。布団は干乾しや乾燥機で乾燥させ、掃除機を布団の表裏にかけます(布団専用ロ-ラ-型ノズルが便利)。防ダニ加工された布団やシ-ツも利用するのもよいでしょう。枕は、充てん材がプラスチック製のものをお勧めします。
2.じゅうたんやカ-ペットは使わない。
これらはダニの温床になるため使用は控えます。やむをえない場合は裏表とも掃除機をかけましょう。できれば床は板床(フロ-リング)にしましょう。ソファ-は見逃されやすいですが、これにも掃除機をかけるのを忘れないで下さい。
3.ペットは家のなかで飼わない。
ぺットの毛やフケがアレルゲンとなったり、これらがダニの餌にもなります。
4.換気を良くし、湿度を下げる。
最近の住居は密閉性が高いため、換気が悪くなりがちです。部屋の隅や家具の後ろなども風通しが良くなるように心がけて下さい。換気扇や除湿器(エアコンのドライ機能でもよい)をうまく利用し、湿度を60%以下に下げてやりましょう。なお、エアコンのフィルタ-の掃除も忘れないで下さい。
清潔を心がけ、体調を整えて
これからの季節は、生活環境への注意と同様、心身への細やかな配慮が大切になってきます。入浴やシャワ-で清潔に心がけること、無理をしないこと、睡眠不足にならないこと、栄養のバランスを考えた食事を取ることは疲労を軽減させてくれます。
ともあれ、この健康を害しやすい季節を工夫をしながら、元気に乗り切りたいものです。